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2011/07/30/00:00

047:宿題

※『026:何をしてるの?』の続きです。
以前の話が未読で読んでみたいという方は上記リンク先よりご覧ください。



気分を一新しようとお風呂に入ったのはいいものの、やっぱりもやもやは消えない。
それもこれも全部…そう心の中で呟きながら部屋の戸を開けると、もやもやを引き起こした張本人がそこにはいた。

「…何してんの?乱馬。」

ベッドの端に背を預けながら、乱馬はもごもごと口を動かしていた。

「さくらんぼ食ってんだろー?」
「そうじゃなくて…なんでここにいるのよ。」

できれば今のもやもや状態ではあまり顔をあわせたくなかった。
そんなことは微塵も察していない様子で、乱馬は話を続けた。

「つーかお前知ってた?」
「…何を?」
「さくらんぼの茎を結べたらってやつ。」

途端にさっきの茶の間でのやり取りを思い出して、あたしのもやもやはよりいっそう強くなった。

「どーせあたしは不器用ですよ。」
「知ってる。」
「あんた…あたしに喧嘩売ってんの…!?」

カチンときて思わず食ってかかろうとするあたしを、乱馬は手をかざして遮った。

「じゃなくて、口ん中でさくらんぼの茎結べるやつってキスが上手いんだと。」
「え?何それ。キス?」
「そう、キス。」
「…そーなの?」
「ああ。さっきなびきが言ってた。」
「ふーん…。」

なびきおねーちゃんが…?
なんだか少し怪しいけど、本当なのかな…?

「あたし、もう一回やってみよっと。」

器の中のさくらんぼを一粒摘んでぷちっと茎を取ると、そのまま口の中に放り込んだ。
今度こそ…!と意気込みながらさくらんぼの茎と格闘するも、あとちょっとのところで失敗してしまう。

「ん~!もう無理!!」
「…やっぱりな。」
「ホント、あとちょっとなの!でももう無理。舌つりそう…。」

ぺっと茎を吐き出して、口を手で覆った。
舌が引きつるように痛い…。

乱馬はさっきあたしが茎を取ったさくらんぼをぽいっと口に入れながら言った。

「結べないってことはあかねはキスが上手くないってことだな。」
「なっ!あたしだってキスの一つや二つくらい…!」

言いかけて、乱馬の表情の変化に気づく。
にっと口元に笑みを浮かべ、じっとあたしを見つめていた。

しまった…と気づいたときにはもう遅い。

「ふーん…そこまで言うならやってみろよ。」
「え゛。」
「ほら。」

そう言って乱馬はさくらんぼの種を器に出すと、ふっと目を閉じた。

背筋がぞわりとする。

なんでこんなことになっちゃったんだろう…。
今の状況を頭の中で整理しようとするけれど、できるはずもなかった。

目の前の乱馬は目を閉じたまま、微動だにしない。

「ほら、早く。」
「わ、わかってるってば。」

恐る恐るその頬に触れる。
ぴくりと乱馬の睫毛が揺れ、あたしの指も震えた。

「あかね。」

不意に名前を呼ばれて、心臓の鼓動がまた速くなったのを感じた。

もうこうなったら勢いで乗り切るしかない。
乱馬の右頬に添えた手をそのまま下へ滑らせると、シャツの胸元を掴んでぐいっと引き寄せ、触れるだけのキスをした。

すぐに離れると、乱馬はまだ目を閉じたままだった。

「…終わり?」

不満気にそう言って、乱馬はゆっくりと目を開いた。

「終わり!」

だめだ…顔が熱い…。
お願いだから、こっちを見ないでほしい。

「え~。」
「え~、じゃない!終わりったら終わりなの!」

とにかくこのよくわからない雰囲気を断ち切りたくて、あたしは器のさくらんぼに手を伸ばした。

「あ!つーかそのさくらんぼ、俺のだっつの。」
「うるさい。てか乱馬ももう一回茎結んでみてよ。さっきはたまたまできただけかもしれないじゃない。」
「たまたまじゃねーって。見てろよ。」

茎を口に含んでもごもごと動かす乱馬を横目に、あたしはもう1粒さくらんぼを食べた。
さっきのはまぐれだ、何回もできるわけがない、そう思いながら。

すると、乱馬はまた口元にふっと笑みを浮かべた。
…嫌な、予感がする。

「ほらな。」

そう言って手のひらに置いたさくらんぼの茎は、しっかりと結ばれていた。

「なんで!?」
「何回やってもできるっての。俺もうコツ掴んだし。」
「なっ…!」

なぜか感じる敗北感に苛まれていると、じゃあ、と乱馬は口を開いた。

「結べたってことは俺はキスが上手いってことか。」
「あー、そっか…ってそんなのわかんないじゃない。」
「じゃあ…試してみる?」

不敵な笑みを浮かべながら、乱馬はあたしをじっと見つめた。
乱馬のその目が、あたしのプライドに火をつける。

「いいよ。」

はい、どうぞ。と言って、あたしは目を閉じた。
すっとあたしの右頬に乱馬の手が添えられる。


いざとなったら、乱馬はきっと躊躇するに違いない。
だってあたしもそうだったから…。

さっきとは逆の今の状況を、あたしはとても軽く考えていた。

「なあんて…ね……っ!?」


冗談だよ、と続けようとした語尾が呑み込まれる。
乱馬の唇があたしのそれに重なっていた。

一度軽く離れ、また新たなキスが落とされる。

「んんっ…!」

つつ、と唇に乱馬の舌が触れた。
びくりと身体が震え、思わず顔を背けようとすると、それを阻止するかのように顎を掴まれ、熱い舌を挿し込まれた。

「は…っ…。」

貪るような乱馬の深いキスが続く。
上顎を撫でられ、奥に潜むあたしの舌に乱馬のそれが触れた。

「は…ぁっ……ら…んっ…。」

苦しくなって、合わさる唇の隙間から空気を取り込もうとするも、ぐいっと強く引き寄せられ、さらに深く接吻けられる。

熱い舌が絡まり、ちゅっと甘く吸われる。
角度が変わり、どんどんエスカレートしていくそのキスを受けながら、あたしはほんのりさくらんぼの味を感じていた。

ふと胸に乱馬の手が触れた。
同時に腰に回されたもう片方の手にぐっと力が込められ、引きつけられる。


だめだ…このままじゃ流される…。


「ま…待って…。」

ちぎれそうになる理性の糸をなんとか手繰り寄せて、ぐっと乱馬の胸元を押した。

「…んだよ。」

途中で止められたことが気に入らないのか、乱馬は拗ねた表情を浮かべた。

「…ストップ!」

肩で息をしながら、遮るように右手を顔の前にかざす。

乱馬は大きく溜息をつくと、で?と話を続けた。

「…上手い?俺。」
「…え?」
「キス。」
「……わかんない。」
「わかんないってなんだよ。」

だって本当にわからない。
いつだってそうだ。乱馬のキスはあたしの思考を止める。
すごくドキドキして、でもすごく気持ちよくて…。

「…わけわかんなくなるの。」
「は?」
「キス…されると。」
「……へー…。」
「…なんか、悔しい。」

乱馬はなぜか嬉しそうに笑うと、器から摘んださくらんぼをあたしについと差し出しながら言った。

「じゃあ、あかねは俺に勝てるように、さくらんぼの茎が結べるようになること。今度までの宿題な。」
「何それ。宿題って。」
「俺に勝ちたいんだろー?」
「勝ち…たい。」
「それとも教えてやろうか?舌で。」
「いーよもう!乱馬のばか!」

手元にあったクッションを投げつける。
当然のように、乱馬はそれをひらりとかわした。

「まあ、せいぜい練習に励むんだな。」

勝ち誇ったように笑う乱馬が癪に障る。
あたしの負けず嫌いは完全に火がついた。


「…望むところよ!」

絶対に結べるようになってやる!
それで乱馬をあっと言わせるんだ。


内なる闘志を胸に秘めながら、あたしは差し出されたさくらんぼをえいっと勢いよく口に放り込んだ。


PS.

やらかしました。だいぶキャラ崩壊してますけど。
てかさくらんぼ食いてえええええ。


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