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2011/06/12/00:00

062:暗幕

一人、駅の前で佇んでいた。

電車に乗るまではからりと晴れていたのに、駅に着いた途端しとしとと降り出した雨。
目の前に広がる、かすんだグレーの世界。

「さっきまではあんなに晴れてたのに…。」

このまま雨がやむのを待とうか、それともこのまま帰ろうか…。

足元を見ると、買ったばかりの白いサンダル。
つま先は雨粒に濡れ、ペディキュアの色がより映えて見えた。
どうしようかうつむきながら考えあぐねていると、見覚えのある赤い傘がすっと差し出された。

この傘…あたしの傘だ。
雨の日にはいつも差す、お気に入りの赤い傘。

視線を上に向けると、傘とおんなじ色のチャイナ服が目に映る。
黒い傘を差した乱馬がそこにはいた。

「だから言われた通り、傘持ってきゃよかったんだ。」
「…うん。」

出かける前、かすみお姉ちゃんに傘を持っていくよう言われていた。
けれど荷物になるから、とあたしはそのまま家を出てしまった。

「言っとくけどなー、コンビニ行くついでで来たんだ。あくまでもついでだかんな。」

乱馬は普段、雨の日はあまり外を出歩かない。
濡れると女の子になっちゃうから。

それなのに、来てくれた。
…コンビニに行くついでみたいだけど、それでも嬉しさを隠せない自分がいた。

「乱馬。」
「ん?」
「ありがとね。」
「…ああ。」

帰ろうぜ、と乱馬は歩き始めた。
雨に濡れないよう気をつけながら。


手渡された赤い傘を開く。
パラパラと雨をはじく、いい音がした。


「待ってよ、乱馬。」


2004/07/11:UP|2011/06/12:RETOUCH


PS.

コンビニなんて口実でしょ。どーせなら相合傘で帰ればいいのに。
と、雨が嫌いなおねいさんは思うわけです。


ドリーマーに100のお題EDITCLAP


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