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2010/11/20/00:00

064:螺旋

「乱馬、見て見て!」
「あ?」

放課後に商店街を歩いていると、ベビーカーに乗った赤ちゃんが八百屋の前にいた。
そばにはその子のお母さんらしき人が時折ベビーカーを揺り動かしながら、お店のおじさんと話をしている。
ベビーカーの横を通り過ぎると、赤ちゃんが「だあ」と言いながら、手をあたしの方へ伸ばしてきた。
思わず手を差し出すと、人差し指をきゅっと握られた。

ちっちゃい、もみじの手。


「あらあら。ごめんなさいね?」

そう言って、お母さんが愛おしそうに赤ちゃんを抱き上げた。

「男の子ですか?女の子ですか?」
「女の子です。まだ小さいから手がかかって。」

ねー?と微笑みながら、お母さんは赤ちゃんと顔を見合わせた。
赤ちゃんもにこっと笑って、お母さんにしがみつく。

それを見て、あたしの顔も自然と綻んだ。


八百屋のおじさんから野菜を受け取ったお母さんはそれじゃ、と笑顔でお辞儀すると、ゆっくりとした足取りで歩いていった。





「あの赤ちゃん、すっごく可愛いかったね、乱馬。」

帰り道を歩きながら、さっきの赤ちゃんを思い出す。
なんだかすごくあったかい気持ちになった。

「ああ、なんつーか…モチみてーだよな。」
「…あんたってば…なんでいつもそう食べ物に結びつけるわけ?」
「成長期ですから。」

そう言った乱馬も、少し嬉しそうに笑っていた。

赤ちゃんを見ると、どうしてこんなにあったかい気持ちになるんだろう。
不思議な、でも幸せな気分にあたしは浸っていた。


「ねえ、乱馬はもし自分に子どもができるとしたら、どっちがいい?」
「…どっちって?」
「男の子か、女の子かってこと。」
「うーん…やっぱ男かなあ。いっしょに稽古とかできるし。」

それを聞いて、一瞬ぶかぶかの道着姿の男の子が頭に浮かんだ。
幼い頃の乱馬そっくりに違いないと思うと、なんだか可笑しくなってくる。

「その子もきっと乱馬とおんなじ、格闘バカになるんだろーね。」

笑いながらそう言うと、乱馬はちょっと拗ねたように呟いた。

「…そーゆーお前はどっちなんだよ。」
「あたし?あたしは…女の子がいいかなあ…。」

可愛い服を着せて、公園を散歩したり遊んだりする。
少し大きくなったら、いっしょに料理をするのも楽しいかもしれない。

そんな想像を膨らましていたら、乱馬に鼻で笑われた。

「あかねのDNA色濃く受け継いだら、とんでもねーはねっかえりの不器用な子どもなんだろーな、きっと。」
「…何よそれ。どーゆー意味!?」
「そーゆー意味。」

ぐんと伸びをして、乱馬は言った。


「ちゃんと育てないとなー。家ん中にはねっかえりが二人じゃ、俺も大変だ。」
「…。」


「顔赤いぞ。どーした?」
「……なんでもない。」


自然と綻ぶ口元を押さえながら、あたしは未来の光景に思いを馳せた。


2005/08/08:UP|2010/11/20:RETOUCH


PS.

「螺旋→螺旋構造→DNA」ってことで。
乱馬くんの無意識な父親宣言でした。


ドリーマーに100のお題EDITCLAP


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