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2010/09/17/00:00

032:フェンスの向こう

フェンス越しに見る、見慣れた街並。
ちょっと見上げると、のん気な顔をしてその上をとたとたと歩く乱馬が目に映る。


今まで別に気にも留めていなかったけど、ふと思った。

フェンスの上から見る景色ってどんな感じなんだろう…って。
「ねえ、乱馬。」
「あ~?」
「フェンスの上ってさ、何が見えるの?」


乱馬は一瞬、なんのことかとでも言いたげな表情を浮かべる。
でもすぐにニッと笑うと、得意げな顔で言った。

「こっからの眺めは登ったやつだけの特権だからな。おめーにゃわからん。」

ほぼ予想通りの回答。
わかっていたけど、でもなんか悔しい。

「何よ~。そんなんで威張っちゃってさ。別にいーですよーだ。ちょっと気になっただけだし。」

ナントカは高いところが好きって言うじゃない。
まさにぴったり。乱馬もそれだ。


「しょーがねーなー。そんじゃあ…。」

乱馬は急にストッと隣に降り立つと、


「特別に見せてやるよ。」


そう言って、あたしを肩へ担ぎ上げた。

「きゃっ!ちょ、ちょっと!」

ふわっとした浮遊感。
そして、トンとフェンスの上に立たされた。


そこには夕焼け色に染まった、いつもと違う世界が広がっていた。

背中を支えるその手が温かい。


「乱馬…いっつもこれ、独り占めしてたのね。」

通い慣れた道をただ歩いているだけじゃ到底気づかない。
『綺麗』の一言じゃ表現しきれないくらいの、赤い赤い街並。

「俺ほどのバランス感覚持ってなきゃ、立つのすらまず無理だからな。」


急にぐらりと視界が揺れる。
あたしの背中を支えてくれていた手はいつの間にか離れ、乱馬の頭の上にあった。

「きゃ…!」

このままだと落ちる…!

次に来るであろう衝撃に耐えようと、あたしは思わずぎゅっと目を瞑った。


けれどその瞬間は一向に訪れず、恐る恐る目を開けると、さっきと同じ景色がそこにはあった。

あたしの背中は再び乱馬の手で支えられていた。


「んな様子じゃ、やっぱあかねには無理だな。」
「なっ…あんたが急に手、離すからじゃない!」
「試してみたまでよ。あかねは不合格~。」
「いーわよっ。もう降りるから。」


フェンスに右手をかけて、えいっと地面に降りた。
平らで安定した感覚にほっとする。


「まあどーしてもって言うなら、ときどき見せてやるよ。」
「べっつにー。乱馬なんかに頼まなくても一人で見るからいーもん。」
「ほぉ…支えなしじゃろくに立ってらんなかったのにか?」
「う…。」


あの景色を乱馬一人が独占するのは贅沢過ぎる。

ちょっと悔しいけど、また見たくなったら頼もうかな?
それとも、自分一人でも立てるように練習してみようか…。


どうしようか考えていると、乱馬は手を頭の後ろに回しながら、

「それよか早く帰ろーぜ。もーすぐメシだ。」

と言って、またいつものように歩き出した。

「あ、待ってってば!」





空の色が、いつの間にか深さを増していた。
数分前とはまた違う、フェンスの向こうの街並。

それを見ながら、さっき目にした夕焼け色の世界を思い出す。


とてもいい気分に浸りながら、あたしたちは家路へと急いだ。


2004/06/22:UP|2010/09/17:RETOUCH


PS.

フェンスの上歩く乱馬くんがすっげー好きです。とたとたって。
てかあかねちゃんなら支えなしでも普通に歩けそうだよね。


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